こんにちは、ミナト神戸の次は今から8年前のメリケン画像。
(1) この時一度だけ訪問したアメリカ東海岸の都市ボストン、広いアメリカには「その車両がそこ走るかね?」というシーンが見られますが、コレもそのひとつです。
(2) 「フレンチ・コネクション」「バットマン」「スパイダーマン」・・・映画でアメリカの都市風景として登場するNYやシカゴの高架線(アメリカではELと呼ばれることが多いです)~道路の上に作られた鉄製の高架橋を轟音を立てて電車が行くシーンは、ここボストンでも見られました=でも、この高架線、よく見ると何かが違う?
(3) ごつい鉄製の橋脚が道路を跨ぎ、連続ガーダーの線路が乗る~まさしくアメリカの古い都市に見られる高架線なのに、電車が地下鉄タイプではなく、LRV=近代形の路面電車のようですね。
ボストンはアメリカの都市の中では公共交通機関が便利な街のひとつで、地下鉄・バス・そして路面電車(→今はライトレールと呼ぶべきですかね)がネットワークを組んで活躍しています。中でも趣味的に面白いのがグリーンラインと呼ばれるライトレール路線です。路面を走る以外にこんなシーンもあったのですから・・・ボストン市街地の北のはずれにあるこの高架線は、かなり古いものだそうで=高架線や駅の造りを見れば一目瞭然でした。かつてはPCCカーが3両連結でポールを振りたてて走っていたとか・・(このシーン、見たかった!)
(4)Cedarが行ったときには、すでにPCCの姿は無く、近畿車輛製の連接式LRVが主力でした。
(5)
サンフランシスコにも同形がいたボーイング社製のLRVはすでに姿を消していましたね。
(6)ここはグリーンラインの北東終点近く、北駅(North Station)という停留所です 停留所といっても編成も長く(最大3ユニット=6連で走ります)、高架鉄道の標準的な設備ですから、なかなか立派なものでした。名前通りここは近郊鉄道のターミナルとの接続駅で、ラッシュ時は利用者も多いようでした。
(7) 重厚なつくりの高架線、ホームの柱も古めかしい飾りの付いた鋳鉄製で、沿道のビルの煉瓦色とグリーンがアメリカンクラシックな都市のシーンを演出していました。
(8)
「ました」「でした」と過去形で記述しているのは、この素敵な高架線は今は廃止されて、LRVは地下を走っているのです=このようにボストンは軌道系交通機関に積極的に投資している都市なのです。
ボストンではすでに見られないこの色調と高架鉄道のシーン~日本でも体験できます=そう!「ディズニーシーエレクトリックレイルウェイ」そのままでした!(って言うのは逆ですね、ディズニーシーのものがこちらのレプリカですから)
(10・11)
千葉県浦安で、あの高架線の橋脚のグリーン色を見ると、日本人の感覚では不思議な色に感じますが、アメリカではよく使われる色だったんですね=なんて、ボストンでこのシーンを見ていたから言えるんですけど・・(汗)
(12)都心方面に向かって発車するLRVをカメラに収めている人発見。聞いてみたら<鉄>ではないが、この高架線がもうすぐ無くなるので写真撮っていたとのことでした。
下が現在の線路配置図(アメリカの某サイトより引用)です。当然ですがホームが緑=グリーンラインです。North Stationが地下に入って別の地下鉄との接続駅になっているのがお分かりですね。地下の新駅は画像で見るとハイテクモダンなデザインですが、フルキタ(古い&汚い)大好きCedarとしてはあの高架線が良かったなあ~
(13)グリーンラインの線路配置図をもう1度ご覧下さい。North Stationのひとつ都心寄りのHa ymarketからBoylstonまでの線路配置がなんとも凄い!ループ線あり、複々線ありの複雑怪奇ぶりです。
アメリカは道が広いから路面区間に複々線(実際にサンフランシスコにありましたからね)・・と思われる方もいらっしゃる(?)かもですが、実はこの区間は都心を貫く地下線になっています。オマケにヨーロッパの各都市のように近年の開通ではないのです。
(14) Park Street駅の壁のアートには誇らしげに「THE FIRST SUBWAY IN AMERICA~」の文字が。このと地下線開通は、なんと19世紀末のことで、先ほどの高架線とあわせてボストンの電車の先進性が伺えますね。ウォールアートに描かれたオープンの電車も、この地下線を走ったのかも?
(15)開通が古い分、地下駅の造りは古かったです=阪神三宮のようなアーチと昭和の地下鉄銀座線を思い出す鉄骨のホームの柱・・でも最近はずいぶん改装されているようです。 この駅Government Centerはカーブでホームが扇形に広がって、上下線の間にものすごい急カーブのループ線ホームがありました。その他に他の地下鉄とも接続していて乗り換えで賑わっていました。ここから南に向けて出発する系統も多く、そちらはトンネル内で複々線を横切るループ線で戻ってきます。
(16)続いてはもうひとつの拠点駅Park Streetでのショットです。グリーンラインは南側でいくつも路線に枝分かれします(下の路線図参照)が、そのいくつかがここ始発でした(今は違うようです)。そのためのループ線があって(もちろんとんでもない急カーブ!)ホームの端で耳を澄ますと、ループで折り返す電車のレールきしみ音がトンネルに反響していました。
このホームでは乗客は電車の前を横切って隣のホームに移動します、地下駅といってもそこはライトレールです~いいなあ!この気安さと融通性。
(19) ボーイング製に代わって登場した部分低床LRV~オリジナルはイタリアとの事ですが、なんだかデザイン的には最近の悪い傾向=昆虫系の禍々しさがあって好きになれない顔つきでした。急カーブに備えて大きく首を振る連結器が目立ちます。
(20)従来の近畿車輛製との併結も・・ 遠くアメリカでの日本×イタリアのコラボレーションにちょっと感激。
西海岸のサンフランシスコと並んで、都市交通の基幹として路面電車を活用してきたボストン
~様々なトライを続けて、今も立派に活躍している=本記事のタイトル~「高架と地下の路面電車」の意味はこういうことでした。
(21~23)最後に普通の路面電車らしい風景もいくつかご覧に入れたところで、2004年のボストン訪問記はひとまずオシマイです。
この記事へのコメント
プント
アメリカは寛容なのだなあと思いました。
はーさん
地下のGovt Ctr駅のホームは薄暗く特別な雰囲気を持っていましたね。
ここから北駅に向って急勾配で、高架に上り、急カーブで駅をかすめていました。反対側に行くと、地上にでて併用軌道になり、有名なボストン美術館の前を走りますね。
Cederさんのブログを拝見したのをきっかけに、その時の写真を探しだし、弊HPに纏めようかな?と思っています。
とはいっても1ヵ月後ぐらいになってしまうと思いますが!
なにわ
http://www.usrail.jp/et-subway.htm
ですか。
補助金が某国J民党の要望のごとく使えるんで、路線改良による変更が凄まじいんですね。
路下電車を近代化してるんで、地下で平然と急カーブのループトンネルを使っていたわけですし。
EF510-230
Cedar
>アメリカは寛容なのだなあと思いました。
真相は少し違います。本文中にも書いたように最初のLRVはボーイング製(あの飛行機メーカー!)でしたが、様々な不調が出て早々と引退に追い込まれました=アメリカには電車を作る技術がすでに衰退していた=電車みたいな小物(!)は、日本やイタリアに作らせた方が安く確実だったって事です。
でもしっかり部品の50%はアメリカ製品を使わせています(=バイアメリカン法っていう法律がある)、全く寛容ではないですね。
■はーさん様
>25年前の1987年11月に乗りました。
PCCの時代ですね!私が行ったときには、南の方の支線だけにPCCが走っていました。
写真のHPへのUP、楽しみにしています。
■なにわ様
いやはやこれです。アメリカの鉄道は交通弱者救済、という大前提があるので補助金がつぎ込まれているのは確かです。その弊害としては鉄道の沿線=治安がよくないのでうっかり写真を撮っていると危険だったりします。ボストンはそれほどでもないですが・・・シカゴやNYとなると!
■EF510-230様
本文にも書きましたが、ライトレールの高架線は廃止されています(地下鉄には残ってますが、ルート変更を大々的にやっているようです)。
>このあたりの情報、日本ではほとんど皆無ではないでしょうか。
まあ、あんまり関心もたれてない(笑)!
★モボ様
★Reirei様
★あるまーき様
nice!ありがとうございます
Junior
> 橋脚のグリーン色を見ると、日本人の感覚では不思議な色に感じます
各国によって(民族によって)基本となる緑とか赤の色は様々ですね。
アメリカやイギリスでは殆んど原色の赤や緑、黄色って使いませんね。
赤なら少しブルー(シアン)が混じった色。緑は赤を少し混ぜた色。黄色も少し赤味を加えた色とか。
元々がその土地原産の自然の素材から生まれた染料の色を基にしてるのでしょうが、地域的な色の特製を把握しないで、「昔のヨーロッパ風の塗装にしてレトロな感じにしました。エッヘン」てな感じでケッタイな車両(鉄道にしてもバスにしても)が氾濫するのも如何か?と思ったりするのであります。
> なんだかデザイン的には最近の悪い傾向=昆虫系の禍々しさがあって
ハッキリ言って、僕は大嫌いですけどね、そんな傾向のLRVって。
てか、LRVが流行になってる風潮自体が嫌いなんですけど・・・。
はぁ、LRVには聊か批判的なワタクシであります。(元々トロリー屋なのにねぇ)
Cedar
なるほど、日本のヨーロッパ風塗装に違和感あるのは、そういうわけですね。
ディズニーランドって、アメリカ文化の押し付けを感じつつ楽しいのは、あの色彩ですから。
昆虫顏の電車は世界的流行ですが、特に路面電車に多いのは、同じくトロリー屋として残念です。
★nexus6様
nice!ありがとうございます
Cedar
nice!ありがとうございます
Cedar
★denta60様
★やまびこ3様
nice!ありがとうございます
Cedar
nice!ありがとうございます
紅玉国光(富山市)
紅玉の父が行った頃は、P.C.C.からボーイング・ヴァートル+東急車両製の初代L.R.V.に置き換えが進んでいる最中でした。
この初代L.R.V.(サンフランシスコのものと同型)が、ボストン独特の急曲線で脱線を頻発させたりして不評を買い、増備予定車は急遽、フリスコ向けに振り替え(冷房が無かったのでこれはこれで向こうで不評だったとか?)、改めて近畿車輛製のⅡ代目L.R.V.を導入する、と云う経緯を辿ったと記憶しております。(一部うろ覚え)
なお、初代L.R.V.はボーイング本社ではなく、子会社でヘリコのメイカーであるボーイング・ヴァートル(旧パイァセッキー)社が主契約者となっております。老婆心乍ら。
Cedar
初代LRVに関して詳細な補足ありがとうございます。同じ頃行ったフリスコでは同形が活躍しているところを見ました=確かにボストンに比べて線形は穏やかでしたね・・・
Cedar
nice!ありがとうございます
紅玉国光
ボストンの交通営団は「MBTA」でしたね……。
何を惚けていたのやら。(早発性痴呆~?)
MRTはNYの地下鉄3系列の1でしたのに。
富山弁で「ダラ!!」と言われても申し開き出来ません(恥TT:
Type7
最近Heymarket―North Station付近の路線を詳しく確認したいと思い、グーグルの地図の航空写真等を見ると線路が見当たらず、N.StaのScience Museum駅寄りに地下から地上へ出る部分があり、あれ?と思ったのですが、地下化されていたのですね。N.Sta付近の高架やHeymkt付近の地下から出るあたりの雰囲気、味があったのですが。
味と言えば、ここにも写真の出ているPark St駅、私の行った当初は緑色の透明の傘に裸電球のついたような照明がたくさん下がっていて異様な雰囲気がありました。そこを前後の急カーブで車輪を軋ませてけたたましい音を立てて電車が行き来したわけですから。写真でも撮ってあれば面白かったと思いますが、当時のフィルムカメラでは混雑しているあの駅でフラッシュを焚いたり三脚を使うのは憚られ、そのうちに改装工事に入ってしまいました。今のデジカメなら薄暗い構内も手軽に撮影できたのかもしれませんが。
BoylstonからGov't Ctrの線路配置図は初めて見ましたが大変参考になります。前述のようにこの付近は経路自体が急カーブしている上に、区間運転の電車のためにUターンする線路などもあり、キキキキキーと物凄い音を軋ませて走るのです。
懐かしい風景の画像、ありがとうございました。
Cedar
ご訪問とコメントありがとうございます!
ボストンは西海岸のSFと並んで、軌道系交通のパラダイスですね。
この時は短い時間ながら楽しく乗り回しました。
当時まだPCCが走っていたMathapan Lineに行けなかったのが残念でした。
OER3001
この記事をご紹介くださりありがとうございます。Bostonへ行っていながら、こんなに魅力的だったことを知りませんでした。これなら、最低2日間がここで必要でした。