先週の自宅待機の日には、TVの地震画像とACのCMの繰り返しにうんざりして、ストックDVDを観ていました。そんなときに妙に沁みてきたのがこの映画。 別になんにも特別なことは起こらない。(ストーリーがあるといえばあるのですが、説明しても意味はないですね。)アクションや特撮もの、激しいドラマがお好きな方は、途中寝てしまう確率90%、怒りとともにスイッチ切る確率100%です(笑)。
主演はパッケージに写ってる2人なんですが 、本当の主演は町と電車とも言える映画です。
群馬県に実家があって、雑司が谷に暮らしているフリーライターの女の子の日常と、彼女と淡く交わる両親や、電車の音を録音するのが趣味(?)の古本屋の2代目のスケッチが、淡々と続いていきます。
舞台は雑司が谷・お茶の水・神保町の古本屋+喫茶店・群馬県・夕張と変わっていきますが。常に電車が登場します。
都電荒川線・上信電鉄・山手線はほとんど出ずっぱり(ただし、あくまで景色、としてですから純粋鉄には物足りないかも・・)です。京成・高崎線・夕張線も登場します
電車の走る東京のスケッチを観ているうちに、ぼんやりゆっくりと2時間が過ぎていく~私にとっては贅沢な時間=映画の主題である、「珈琲を味わうときのように、気持ちを落ち着け、心をリセットし、これからのことを見つめるためのひととき」=そのものですが、時間の無駄じゃ!と怒る人も多いかも・・・
上信電鉄の吉井駅近くにある(という設定)主人公の実家のシークエンスが個人的には好きです。
駅の佇まいもうまく捉えられているし、両親と墓参りに行くシーンで、画面を走る上信電鉄の電車がとてもいい感じです。
え~、簡単に言うと、私の鉄写真の撮り方と、この映画の電車の描き方はよく似ている、と感じるのです。
監督の候考賢さんとは個人的に縁があるので、撮影時にも何度か会いました。神田神保町のロケでは少し助っ人も。 彼の作品には鉄道がよく出てきます。下はいまや観光スポットにもなっている台鉄平渓線を舞台にした<恋恋風塵>の1シーン。
そのほかにも<風クイの少年><童年往事><トントンの夏休み>などの作品には、台湾の鉄道が随所に出てきたのが印象的でした。
シャイな映像感覚と、独特のゆったりしたリズム感が好きになって、仕事上の接点を持つことになりました
候監督いわく、鉄道の<時間と空間をつないでいる感じ、互いに知らない人が、ともに移動していく空気感>が好き。とのことです。
ラストシーンは御茶ノ水のおなじみの景色。バックに流れる<一思案>という曲も、なかなか良いです。
小津安二郎の生誕100年を記念し「東京物語」のオマージュという形で製作された、ということなんですが、僕にはぜんぜん違う感覚の映画に見えます。
「昔から小津映画の影響についてよく聞かれたけど、彼の映画を始めてみたときは途中で寝ちゃった(笑)」とは監督の内緒話です。
少し疲れた休日に、お暇ならご覧ください。レンタルDVDもあるはずです。
元気は出ないが癒される?
途中で寝てしまっても、責任はもてません(念押し)。
この記事へのコメント
なにわ
この喫茶店の画像の切り取り方はcedarさんですか?都心というよりドコかの地方都市に見えます。
やまびこ3
この映画見ました。喫茶店のシーンが印象的でした。
それにしても、コマーシャルなしの番組も作れない民放TV局の実力にはがっかりしてしまいます。
む〜さん
「トントンの夏休み」しか見てないです。この映画は良かったなあ・・・・最近見てないので、家のどこかにある、ビデオテープを探そうと思いました。
Cedar
この映画の主演は一青窈と浅野忠信ですが、私は<街と電車>が主演と思っています。神保町と有楽町の喫茶店のシーンは監督もこだわっていました、でも台湾映画の手法で成り行き重視で撮って行くのですが。
■やまびこ3様
さすがにマニアックな作品もごらんになっていますね。
コマーシャルなしの番組を民放は作るつもりがないのです。地方局にネットする都合でCM枠は動かせないのですから。
■む~さん様
余震の不安は当分続くようです。こんなときは心を落ち着けて珈琲でも飲んでゆっくり・・・まさにこの映画のような気分で行きましょう。
「トントンの夏休み」は台湾中部、台鉄の銅鑼という駅の周辺でロケしたとのことでした。
おじいちゃんの家が日本の田舎の医院そのものでしたね。
manamana
雰囲気は覚えていますが、また見てみたくなりました。
珈琲時光、自分好みの映画みたいですので、
こちらも見てみたいです。
Cedar
3本もごらんになったとはすごいですね。
このCFはご存知でしょうか?演出は候監督です。ちらっと私も絡んでいます。http://ord.yahoo.co.jp/o/video/SIG=15ieiiqqe/EXP=1301270605;_ylt=A3JuMG7Nfo5NNUQBWfyHrPN7;_ylu=X3oDMTBpYm05aW9rBHZ0aWQDanBjMDAzBHlqZANwYw--/*-http%3A//player.video.search.yahoo.co.jp/video/5ad639a9d38d1cf381b86ebced5e6962?p=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%A7%A6%E5%AA%92&b=1&of=&dr=&st=&s=&pd=&ma=&rkf=1&from=srp
彼の好きな台湾の平渓線が舞台です。
Cedar
nice!ありがとうございます。
サットン
地震報道も益々ヤジウマ的性格が強くなってきましたし。
maipenrai
Cedar
ハリウッド映画の悪影響で、近年映像がどんどん下品になって来ています。やはりと思ったら、地震報道の際に、某FテレビのDが「もっとすごい画が撮りたい」と叫んでる声が入っちゃったらしいですね。
映像って、扱いを間違えると暴走しますから。品性卑しい輩が現場にいると厄介です。
■maipenrai様
え~、途中で寝ちゃっても知りませんよ~(笑)。
ツァイミンリャンもいいですね。
候監督作品の私のお勧めは<恋恋風塵>です。台湾のローカル線平渓線が頻繁に登場し、地下化される前の台北駅周辺、宜蘭線の客車列車など鉄分満載です。
アマゾンで入手できなければ、LDからVHSにしたもの(なんと古い!)は我が家にありますので。レンタル可能です。
山田みどり